薪ストーブメーカーのパンフレットなどには、よく「薪は地球にやさしい燃料である」などと書かれています。これは一体どういう理屈なのでしょうか。
まず、薪は森林破壊をしなくても、むしろ森を適切に手入れすることで生じる間伐材などで十分得ることが出来ます。また、薪を燃やすのは、石油などの化石燃料を燃やす場合と異なり、自然界の「炭素の循環」に収まります。化石燃料を燃やすということは、大昔に長い時間をかけて蓄積された炭素を、二酸化炭素として一気に現在の環境に放出してしまうということです。これに対して、薪を燃やす場合は、木が成長する過程で吸収した二酸化炭素が、木が朽ちていく過程でいずれ放出されるものを、暖をとるのに利用しているに過ぎません。
...というのが、その理由です。
確かに、薪を取るために森林を破壊するということは、少なくとも今の日本ではほとんど考えられません。薪になろうがなるまいが、とにかく倒す理由があって倒された木が、引き取り手があれば薪になる、という場合がほとんどで、放っておけばどっちみち処分される運命のものをもらって来るというケースが大半です。焼却するにせよ何にせよ、木を処分すれば結局は吸収した分だけの二酸化炭素が排出されるわけで、薪として燃料にするのは、まさに資源の有効利用であり、二酸化炭素排出量の削減にも貢献していると言えそうです。 もちろん原子力発電所のようにやっかいな核廃棄物を出すわけでもありませんし、いわゆるバイオマス即ち自然エネルギーの一種として、薪ストーブはエコロジカルな暖房手段と言ってもよいのかもしれません。
もっとも、実際に我々が引き取る木は、間伐材などではなく、道路や宅地の開発で森を削った結果出たものであることも少なくないですし、薪ストーブは見方を変えると、燃焼温度の低い小型焼却炉ですから、うっかり変なものを燃やすと、ダイオキシンが発生する恐れもあります。 そう考えると、大威張りするほどのものではないのかもしれませんし、私の場合、そもそも環境に配慮して薪ストーブを選択したというわけでもありませんが、そんなわけで、薪を焚くということが他の暖房手段に比べてとりたてて環境に悪いということは少なくとも無いようです。
さて、そんな薪ストーブライフですが、こんなこと一体いつまで続けられるのでしょうか。
(次回へ続く)