リンゴの薪 |
私がこれまで割った中で、いちばん割り易いと思った木はニセアカシヤです。もらったのが若い木だったせいもあるかもしれませんが、節や枝も少なく、多少長めに玉切りしても、平気でパンパン割れて気持ちよいことこの上ありません。ただし、この木はバラのようなトゲが幹についているので払っておかなければならないのが面倒(ナタの背で払えば簡単に取れますが)です。
アカマツも乾燥するととても軽く割れますが、生木だとまったく割れません。大抵の木は生木の方が割り易いのですが、マツの場合、生木のうちは柔らかすぎて、斧を打ち込んでも「ふかっ」と力が吸収され、斧がめりこんだわきに樹液がにじんだりするだけで、まるで薪割りになりません。
周囲にリンゴ畑が多くリンゴの木もよく手に入りますが、リンゴは割りにくいので、多少太めでも割らずに玉切りしたままで薪にするという人も多いようです。私も最初の頃は薪割りが下手で、長めに玉切りしたものがどうにも割れずにまた半分に玉切りしてから割ったりして、寸足らずのショボイ薪ばかり作っていました。
それでも最近は多少は薪割りも上達しましたし、特に生木のうちは、うまくパワーを乗せると節くれだっているわりにはサクッと割れる気がします。また、リンゴは生木のうちに玉切りしたり薪割りしたりすると、積んであるそばを通るだけで甘ったるい香りがしたりします。
香りと言えば、ウメはリンゴ以上に香りが強く、薪割りした瞬間にほわっと香って来るぐらいで、割ってから長く積んでおいたものでも、鼻を近づければあのウメの香りがします。ウメは木の芯まで紅色をしていたり、本当に木全体が「ウメ」という感じがします。
このほかクリも割ると芯の方が蜜っぽくていかにも「クリ」という気がしますし、リンゴが割れるときの「サクッ」という感触もどこか「リンゴだ〜」と思わせるものがあり、こういう木の特徴をいろいろ実感するのも薪割りの一つの楽しみです。
ちなみに、あまり割りたくないのは虫が入っている木です。リンゴなどにはテッポウムシ(カミキリの幼虫)がよく入っていて、小指くらいのモスラみたいなやつが出てきます。これは慣れるとどうということはないのですが、長く地面に放置されていた丸太は、たまにアリの大群やゴ○ブ×(小さいやつですが)の巣になっていることがあり、これにあたると気を取り直すまでしばらく薪割りを中断しなければなりません。
このように木にも色々ですが、木の種類にかかわらず、何と言っても割っていて苦労するのは、節や枝分かれのある丸太です。