2ヶ所の枝分かれもろとも真っ二つにうまく割れたの図 |
薪はその木の目(繊維)に沿ってしか割れません。曲がった木にまっすぐ斧を入れても、木は目に沿ってカーブした形のまま割れます。また、節があったりして木の目が乱れているところに目に逆らって斧を入れてしまった場合、どんなに力を入れても、薪は割れてはくれません。
薪割りとは斧という刃物で木を縦に切ることではなく、斧という柄のついたくさびを打ち込んで、木を左右に裂くことなのです。このため、斧の刃先はたいていそれほど鋭利にはなっておらず、ヘッドも太くて刃の角度が鈍く、左右へ押し広げる力が十分働くようになっています。また、実際に薪割り用のくさびというのもあって、特に割りにくい丸太などの場合に、ハンマーでくさびを打ち込んで割っていくという方法もあります。
枝(節)は、木の中心から年輪に対して垂直に伸びていて、枝(節)の周りは枝を囲む目と幹の目がぶつかっています。このため枝のある丸太を割る時は、枝の無い側を割ったり枝に対して十分な角度をとって、枝を避けて割るようにします。また、逆に枝の中心線を正確に狙って、枝もろとも割るという方法もあります。枝の周囲は目がよじれていますが、枝の中心線は、幹の目と枝の直径方向が一致して目が通っているからです。木の目は木が枝分かれしていくのと同じく、根元から梢へ向かって通っていますので、特にこういう場合は、丸太の天地を逆さにして根元の側から斧を打ち込むのがセオリーです。
枝や節が色々な向きにある木を割るときは、目を読み違えると、まるで割れなかったり丸太の一部が欠けるだけになってしまったりしますが、きれいに割れそうな目を読んで、思い通りに真っ二つに割れたりすると、ひとりで思わず「よしゃ!」とつぶやいてしまったりします。
斧にも大小いろいろあり、素直な木なら中くらいの斧でもけっこう割れますが、私は最近主に大きい斧ばかり使っています。大は小を兼ねるということもありますが、細めの丸太を大きい斧で力を加減して、ちょうど何とか割れるくらいで割ったときの、まさに「ハラリ」という感触がまた良かったりするのです。逆にここは堅そうだと力を入れたのにそうでもなくて割れた薪が勢い余って左右に吹っ飛んでしまったりすると、次は力を抜き過ぎて1回で軽く割れるものを割り損なったりして、効率が悪かったりもするのですが。
さて、薪が割れたからといって、すぐにストーブにくべられるわけではありません。その前に薪を十分乾燥させる必要があります。