いくらストーブの中とはいえ、家の中で薪なんぞ焚いたらけっこう煙やら煤やらが出そうな気がします。しかし、実際に使ってみるとこれは杞憂に過ぎないことがすぐに分かります。
火を焚くと、暖められた空気は上昇気流となって煙突を上っていきます。すると、その分部屋の空気がストーブに吸い込まれます。つまり煙突からどんどん空気が吸い上げられて、ストーブから外へ空気が流れることが無いので、煙や煤もほとんどと言って良いほど室内に漏れることはありません。
煙突というのは、ただの煙の通り道ではなく、高性能な排気システムでもあるのです。薪ストーブは、排気を室内に放出する一般の灯油ストーブなどよりも、ずっとクリーンな暖房とも言えます。
しかし、実は例外的にですが、煙が室内に逆流することも無いわけではありません。
その一つは、点火直後に煙突から屋外の冷たい空気が下りて来てしまう場合です。これは、まだ煙も大したことはありませんし、慌てずに新聞紙を数枚追加投入して上昇気流を起こせば解消します。
もう一つのケースは、どの薪ストーブでも起こるという訳ではないと思いますが、もっと迫力があって、ダンパーを閉じて焚いている時に起きることがあります。
ダンパーを閉じると煙突へのダイレクトな空気の流れは遮断されます。その分二次燃焼室が働き、煙突から直接逃げていた煙も熱も有効利用されるのですが、それには主燃焼室に十分な熾(おき)が出来ている必要があります。熾が少ない、投入した薪の乾燥が不十分、換気扇を使っていて室内の気圧が下がっているなど、いくつかの条件が重なると、薪から出る可燃性のガスと炎のアンバランスが生じます。ダンパーを閉じている時は、青い炎でチロチロと燃えますが、この炎が薪を離れて宙に浮いてくると要注意です。しまいには、炎が消えてしまい燃焼室にガスが充満して、次の瞬間、再び点いた炎が燃焼室内に一気に広がり、同時に「シュゥッ」と煤が両の空気取り入れ口から吐き出されるのです。
急いでダンパーを開けさえすればそれで済むのですが、ストーブの前を離れていたりして放っておくと、ガスの充満と爆発的な点火のサイクルが繰り返され、「シュゥッ。。シュゥッ。。」と、蒸気機関車よろしく煤が断続的に噴出されることになります。こうなると2階には煙が立ち込め、慌てて窓を開けても数日煤けた臭いが残ることになります。
とはいえ、最小限の注意さえすれば、滅多にこんなことは起きません。
そういうわけで、こうして火を焚くのは良いのですが、では急に出かける時など、火を消すにはどうしたら良いでしょうか。